「弘錦(コウキン)」は弘前市の故宮本喜三郎氏が開発した一代雑種(ランチュウ×ツガルニシキ)で、一代雑種でありながら特別に独立の「品種」と認められたものです。これは、研究者としての宮本氏の栄誉であります。
しかし、残念な事に、体型(体高/体長比)によって「ツガル」と「コウキン」の呼び名を変えるなどという珍説が現れました。
これは1978年に某誌に掲載された捏造記事で、宮本氏の業績をないがしろにし、学問を曲げるものでした。この投稿者は既存の文献さえ読んでいなかったようで、私どもはその投稿を恥としております。
事実は松井佳一(文献;科学と趣味から見た金魚の研究)と、青森県水産資源調査報告書のとおりですので、お話の珍説はご放念ください。
皆さんと異なる私の飼育ポイントを申し上げます。
この金魚の育種試験をおこなった最初(1958年)から、江戸時代の飼育環境を想像し、それに出来るだけ似た条件で繁殖・肥育をおこなっていました。特に越冬(12月〜3月)は飼育池が凍結する寸前の低温です。
この低温を経過することによって、4〜5月の計画的な産卵が可能となります。生まれた仔魚も強健なものが多く、成魚も、ランチュウなどと異なり、機敏な野性的な金魚に育っています。
なお青森市での成長のスピードは
当歳の秋 9〜12p
2歳の秋 15〜18p
3歳の秋 20〜25p
4歳の秋 30p程度が標準です。
温暖な環境で繁殖した津軽錦がひ弱な虚弱体質になることは心配しておりますが、細かい技術は別として、もともと津軽錦は寒冷地の金魚、暖地ではその特性が出ないのかもしれません。
| ↑「孵化後15日、第一回選別前」 | ↑「孵化後二ヶ月の津軽錦」 |
(1) 秋錦は「ランチュウ」と「オランダシシガシラ」を掛け合わせて作った背ビレの無い形のオランダシシガシラです。(1897年命名)
(2) 一方、津軽錦は江戸時代(おそらく天明(1780年)のころ)に「朝鮮金魚(ランチュウの原型)」と「ただの金魚(ありふれた雑魚の意味)」との交雑から作られました。
津軽錦は第二次大戦で一時中断しましたが、現在は戦前より優れた魚が復元しています。復元の親は「ランチュウ×アズマニシキ」で、普通鱗となる方向に交配・淘汰します。
(3) 交配親は似ていますが、秋錦と津軽錦をくらべて、段違いなのは「金魚品種」としての完成度です。
特に、津軽錦の仔魚背ビレの欠如性は、ランチュウより優り、体型や生物としての運動能力もほかの金魚にまさるという人もあります。
(4) この秋錦と津軽錦の違いは、累代交配の頻度から生じます。復元津軽錦は1959年以降20世代以上の累代交配によって厳しく選別・淘汰がおこなわれ、今も続きます。
一方、秋錦は品種として固定するにいたらず、しばしば途絶した、と文献にあります。市場に流通している魚を見て感じますが、秋錦の固定は現代でも難しいようですね。
| ↑「秋錦」 | ↑「津軽錦」 |
(1) 津軽錦の銘魚を後世に伝える目的で集まった金魚飼育者の集団です。最近、虚弱な金魚が出回っておりますが、その対策をまず広めます。そのため、飼育法の情報を交換します。会員は技術を守り、すぐれた津軽錦を育てる義務を負います。
(2) 会員には無償で銘魚の種苗が配布されますが、どちらの愛好会でも同じですが、育てた津軽錦は勝手に処分できません。自ずからマナーがあります。
飼育専門家の集団ですが、入会は県内から。
高価な津軽錦の種苗を取り扱うのですから、会員となるには原則として会員2名の推薦が必要です。